~悪魔執事とお嬢様~


「何年前の話だそれ。
ここ数年は敬語だっただろ……

好んで使ってたわけだし。

それに、自分よりも下の人間に
普通に接して何が悪い?」



言い過ぎたか……?

口ではそう言ったものの、ヴィル爺は
私にとって教師のような存在だったので
少し申し訳ない気持ちになった。



「御言葉ですが、我々使用人はともかく、
他の方の前でそのような

言葉遣いをなされては、
胆が冷やされます。」



言い過ぎた方がよかったな。



「心配しなくても、客人と目上の方の前では
敬語をつかう。

(おばさまとキティは別として)」



「……かしこまりました。」



不満そうな顔でヴィル爺は引いた。


私はキティとおばさまが部屋に行ったのを
確認すると、シャワーを浴びにいった。


イギリスでは水があまりでないせいで、
何度も風呂にはいるわけにもいかない。


だから、一日に何度も風呂へ
入ったことはない。



ただ、血と涙と犬の唾液のせいもあり、
私はすぐにシャワーを浴びたかった。


セーラとアルトを連れ、シャワールームに
入って、服を脱ぎはじめた。

恐ろしいほどベタベタの服で、
このまま家に帰ったのを反省したほどだ。


鏡で自分の姿を確認しようと近寄った。



「……っておい!なんだこれは!!!」



セーラとアルトの目の前で
大声をだした私は、気が動転して
何度も鏡を覗いた。


胸に赤黒い魔方陣。


間違いなくシリウスに関係するものだ。



「おいシリウス!ちょっと来い!」



「お、お、お嬢様!?
シリウスさん呼ぶんですか!?」



セーラはビックリして聞いてきたが、
私は気にも止めない。

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