~悪魔執事とお嬢様~


「執事にもプライベートがありますよ?」



「あったとしても身分を考えろ。」



ったく、プライベートなんて主人と執事の
関係だったら存在しないのに。



シリウスは執事の自覚が欠落してるな。



「言い間違えました。

“執事として”ではなく、“悪魔として”
ですね。」


ーーガチャッ


シリウスは自身の唇に人差し指を添え、
私の部屋のドアを開けた。

黙っていろとでもいうのだろうか。
(※イギリスで人差し指を口に当てるのは内緒という意味にならない)


どちらにしろ、

悪魔と主人という関係のはずなら、
プライベートもへったくれもないのだが…



「喋らないつもりならまた今度追求する。
本題は、私の胸にあった魔方陣だ。

恐らく、私とお前との契約の
印のようなものだろうが……


魔方陣を描くぐらいだ。
何か印以外にも使い道があるんだろう?」



私はベッドに座り、腕を組んだ。


シリウスは部屋の蝋燭に火をつけながら
私の質問に答えた。



「ええ。

その刻印で、
私を召喚することができます。」



「あんまり使えんな。」



「いえいえ、
お嬢様がもし、お一人で心細くく
なられたらいつでも私を呼べますよ?」



あぁ、これだからこいつと契約を
結びたくなかったんだ……


私の反応を楽しみすぎだろ。



「いいか?

私は今、お前のおふざけに突っ込んでいる
余裕はない。

だから大事なことを早く言え。」


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