~悪魔執事とお嬢様~
しかも下心一番ありそうな奴に
着替えを手伝わせるとかありえない。
「では、着替えの問題はまた後に
するとして、まず始めに……
起きてください。」
「面倒だからそれこそお前が起こせ。」
「かしこまりました。」
こんなやり取りにわざわざ10分も使う
とはな。
シリウスは私の背中に手をやって
起こさせた。
眠くないし
別に寝たくないが、起きたくない。
記者会見も開きたくない。
が社長就任と爵位継承(特に社長就任)は
流石に開かないといけない。
「あぁ、面倒すぎる。」
「大方記者会見の事でお悩みでしょうが、
その前に、ご親戚の方々や社員の方、
更には取引先の方にも
ご挨拶なさりませんと。」
「……それもあったな。
他は……お前たちがやることだが、
部屋の模様替えと私の部屋の移動か。
後はお前の態度や性格を調教するくらい
だが。」
お父様の仕事部屋をまさか自分が
使うことになるとは思っても見なかった。
結婚するかして
自分の旦那が使うと思っていたからな。
「悪魔に調教するなどお嬢様の感性を
疑いますね。
怖いもの知らずなのか、
はたまたネジが一本抜けているのか。」
「お前が自分を犬だといったのだろう?
犬への躾で一番大切なのは上下関係だ。」
「クス。まあ、いいでしょう。
I got it,mine lady.」
「で、調教の前に着替えだが、
セーラとアルトはいつくる?」
これ以上こいつの馬鹿らしい話に
付き合うのも面倒だった。
屁理屈ばかり投げつけて、結局は私も
屁理屈を言うしかない。
こんなどうでもいい会話を何度も
したい訳じゃないのにな。
「私の姿を女性に変えてお着替えを
手伝いましょうか?」
「仮に普通の男性が女装したとして、
私が着替えを手伝わすと思うか?」