~悪魔執事とお嬢様~

普段使っていた敬語を
使わないでそう訊いた。



まあ苦しいからな。
いちいち敬語なんか使えない。



「おや?
この状況下で私が誰かを訊くとは。」



「……質、問に……答えて……ないぞ。」



「私は、悪魔です。
てっきりわかっていたと思ったのですが。」



んなこと分かるか!

ただでさえ苦しいのに。


しかも悪魔だなんてにわかに信じがたい。



「先程、あなたは仰いましたね?
『生きてやつらを殺す』と。」



確かに言った。

あんなの、本心じゃないが。



「………」



無言で私は男を探した。

なにがしたいのだろう。


悪魔だろうがなんだろうが、
意味が分からない。



「クス。まあいいでしょう。
私はあなたと契約を結びたいのです。」



男は私が契約の内容を知っていて当然
かのように話始めた。


契約…私が想像するに、


やつらを殺すと引き換えに私の魂を
奪うということだろう。


さらに、私の魂を奪うまでの期間は
やつらを殺すまで。


私の名前を知っていたことや、
声の主の口調からだと

私の事を小さい頃から知ってるようだな。

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