~悪魔執事とお嬢様~
「ああ。」
私はシリウスに連れられてダイニングへ
向かった。
相変わらずのでかい椅子だ。
昔はテーブルの横に座っていたのに、
今は本来お父様が座っていた場所、
テーブルの角に座らされた。
その隣へ、おば様がキティと向かい
合うように座り、食事を摂った。
味からして、
奇跡的に成功したエルの料理と、
シリウスの料理の2つだった。
エルの料理はイタリアやフランスの料理に
似せたものが多いからな。
「ねえシャロン、本当に体は大丈夫なの?
キティ、やっぱり心配よ。」
全員が食べ終わりかけたその時、キティが口を開いた。
私としてはキティの二日酔いが心配だ。
席に着くなり「ごきげんよう」と静かに呟いたことを除けば今日最初の言葉だったのもあって余計に。
「案ずるな。全然平__」
「シリウス様!!キティ、一人であの暗い
部屋に眠らされるのは怖かったですわ!
次にシャロンの家へ泊まるときは
隣に朝までいてくださいまし!」
なんだ、いい子ぶりたかっただけか。
女とは魔性のようだと良く言うが、
悪魔に劣らんほどのタフさだ。
…………私も女だが。
「そうでございましたか。
配慮ができず申し訳ありません。
しかしわたくしは執事。
慎んでお断りさせていただきます。」
「愛に身分だなんて関係ないです!
だって、愛は“愛”ですもの!」
話が飛びすぎだな。
シリウスは愛の話なんて一度もしてない。
もういちいちツッコミ入れるのも面倒だ。
「でしたら、今度お泊まりになられた時は、
メイドのセーラをキティ様が
眠られるまで付けさせます。」
「えぇ……睡眠時間減るじゃないですか。」
と小声でセーラは話し、しばらく
シリウスとキティのやりとりが続いた。
ーーバンッ!!
「考え事してるから、
ちょっと黙ってちょうだい。」