~悪魔執事とお嬢様~
「忘れ物はないか?
知らない人間に着いていったりするなよ。
いくら相手がお前好みでも。」
「もう、子供じゃないんだから……。
それに、
キティが愛するのはシリウス様だけよ!」
もう当分失恋になることはないな。
シリウスに彼女でもできない限り。
「またね、シャロン。元気でよかったわ。
頑張って。」
恋愛スイッチが入っていないまともな
キティを見たのが別れの時だなんて
悲しいが、私はキティを見送った。
あとはおば様を送れば終わる。
――じゃなく、始まる。
地獄の1日(ハードスケジュール)が。
「マダムエマ、
またのお越しをお待ちしております。」
「はいはい。
んじゃ、また来るからね。シャロン。」
笑顔で手を握ったり開いたりと交互に
してみせた。
「ではまた。」という意味だ。
おば様の場合は自分の馬車で来ていた為、
馬車を手配する費用がなくなって
助かった。
御者もアベノがやっているようだし。
ーーハア。
「そんなに嫌ですか?ご親族へのご挨拶。」
「全部が嫌だ。」
「ワガママを仰るなんて、まるで小さな
子供のようですね。」
「次言ったら聖書を唱えるぞ。」
「おやおや、
パセリをお出ししましょうか?」
(ちなみにパセリとは知ったかぶりの
うるさい奴という意味がある。)
主人に無礼すぎる。いくら悪魔といえど
最悪だ…。
「チッ。それで?
いつ頃来るんだお客は。」