~悪魔執事とお嬢様~
「もうそろそろです。」
シリウスがそういったまもなく、
私が生きているという知らせを聞いて
駆けつけた人間が何人も来た。
いや、正確には、後日会うという手紙や
使いのもののみ、など、
本人が来ることは余りなかった。
親戚も元々少ないしな。
フォスター家にはお父様しか男性が
いなかったし、お母様の方もそんなにいない。
ただ、会社の取引先の社長たちや
副社長のエディ・マブット(Eddy・Mabbut)は
自分から来た。
話すことはあまりなかったが、
会社の風向きはかなり深刻なようだった。
取引先の社長たちは、口を揃えて
本当に大丈夫なのか?と訊いてきた。
無理もない。
私が成功しなければ、
他の会社もドミノのように共倒れだ。
しかしシリウスがいれば、そう難しい話
でもない。
ライバル会社が
消えれば、必然的にこちらの
商品を買うしかなくなるのだからな。
「信じていいんですね?」
「無論、安心してください。」
「……そうですか。」
話すことがありすぎるのもあり、
彼らは思ったよりも早く退場した。
あとは記者会見か……
これが一番難関だな。
昔お父様が記者会見を開いているところを
見たことがあるが、
感じの悪い輩が多く、あまり
好きになれない。
もちろん誠実な記者もいるのだろうがな。
ーーガチャ
ドアの向こうには数人の記者がいた。
元々そんなに呼んでいないから
当たり前の事だ。
「良く集まってくださいました。
今日皆さんを呼んだのは、フォスター社の
社長の件です。
今日、フォスター社の社長が、
新しくこの私、シャロン・フォスターが
就任いたしました。」
「それよりも、どうして数日間姿を
見せなかったのですか?」
面倒な質問を返すやつだな。
フォスター社の
話などどうでもいいようだ。
「私一人が生き残り、
別の町へで療養していたからです。」
もうシリウスに任せようか。
この記者を追い出すことだって
できるのだし。