~悪魔執事とお嬢様~
おっと、レディーの使う言葉ではないな。
そしてこの後に待っているのはレディーに
なるためのシリウスが行う調教。
ったく、一体どっちが“物”なんだ。
絶対シリウスの執事としての態度を
改めさせてやる。
「では、記者の皆様も帰りました事ですし、
ダンスと歌と楽器のレッスン……
ついでに絵画のレッスンもしましょう。」
記者を呼んでいた部屋を出て、廊下を
歩きながらシリウスが後ろから
声を話始めた。
「増やすな増やすな!
せめて歌と絵画を乗馬と狩猟に
変更し……てください!」
危ない危ない。
ヴィル爺の鋭い目が私を睨み付けていた。
言葉遣い……か。
ヴィル爺の言っていることは
もっともだ。
が、私にそんなもの求めても無駄だろう?
「お嬢様、爺が間違っておりました。
言葉遣いよりも、
根本的なことを直された方がよいかと。
レディーが狩猟など言語道断ですぞ?」
次はそっちか。
もういい加減私をレディーにするとか
やめればいいのに。
「ヴィル爺も私の音痴は知っている
でしょう?」
「尚更歌のレッスンは丹念に
なされることですな。」
もう嫌だ。
「……分かりましたよ。
やればいいんでしょう?やれば。
カヴァネスでも
なんでも雇えばいいですよ。」
カヴァネスとは、要するに女家庭教師で、
マナーや絵画、楽器、歌などの
レッスンをする。
「カヴァネスを呼べるほどの時間と
費用は現在ありませんので、
わたくしがレッスン致しましょう。」
「おや、Mr.シリウス、貴方がレッスンを?」
「ええ。以前働いていた屋敷のご令嬢に
指導をさせていただいた
経験もありますので、心配は無用ですよ、
ヴィルさん。」