咲き誇るものは忍の恋なり
「私達に罪などない。」

「お前らは知らないんだろうが、破壊活動の起こる原因を作り出したのは、紛れもなく私達人間だ!」

結合の言葉に海、美結、真が頷く。

「こいつらは特異な能力を持っていたから、人間に忌み嫌われ続けた。私達人間は、こいつらの心も体も傷つけ、心も殺してきたんだよ!その傷ついた心の矛先が、間違った方に向いちゃっただけなんだよ.........」

結合の表情に悲しみが加わっていく。

「だが、国の意向は変えられんぞ。」

「.........お姉ちゃん達には姿を変えて、どこか人里離れたところで暮らして、そして幸せになって欲しい。......これを国に要請します。」

結合は強く言った。

「だから国の意向は変えられんと.........」

「良いではないですか。」

総理の言葉を何者かが遮る。

「この忍の言うことは正しい。」

「ですが天皇陛下.........」

そう、総理の後ろにいた天皇だ。天皇は

「この忍の言うことは事実でしょう。確かに、この者らにも罪はある。だが、我々の罪も重い。この者らに罪を問う資格はない。.........日下部結合さん、その要請を受けましょう。ですが、4人は死んだことにして下さい。それでなくては国民は納得しないし、不安も消えない。いいですか?」

と続けた。問われた結合は他の者と目を合わせる。皆は微笑んだ。

「.........はい、お願いします。」

結合の言葉に天皇はうんうんというように笑って首を縦に動かした。

「陛下.........ッ!」

「私達が黙って嘘をつけば良いのです。彼らへのお詫びと、今まで国を護ってくれた彼女らへのお礼と思えばいいのですよ。」

怒鳴る総理にピクリともせず、天皇は冷静に言った。

「良いですね?」

更に有無を言わさぬ声で問う。

「は、はい.........」

総理も認めた。つまり、国の意向は変わり、結糸達は幸せになれるということだ。

「よかった.........」

冴音が安堵の声を漏らす。不死である冴音は、仲間......星羅や澄晴を失うことが怖かったのだろう。

「.........よかったけど......もう、会えないのか.........?」

星羅が悲しそうに言った。周りに静寂が広がり、笑顔が消えていく。その静けさを

「ご心配なく。4人には場所を教えておきますよ。」

と天皇が破った。皆に笑顔が戻る。すると

「.........私達の絆は永久にある。だから、大丈夫!会えなくなることは絶対にないよ!」

と結合が言った。大きく美しい華が、開き始めた瞬間だった。
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