咲き誇るものは忍の恋なり
「校長。大事な娘さんに怪我を負わせてしまい申し訳ありませんでした。回復術をかけたのでもう、大丈夫なはずです。」

「あっりがとうっありがとうっ」

泣いている校長。周りも和やかになっていった。その時、海は結合に異変を感じた。結合は下を向いていた。一瞬泣いているのかと思った海が結合の肩に手をおくと、そのまま結合は後ろに倒れそうになった。海が急いで抱えたものの、結合に意識はない。

「結合!?どうしたの!?目を覚ましてよ!ねぇ!」

返事はない。そこで海は思い出した。回復術の最大の欠点があることを…そう。回復術は術者にとてつもない負担がかかり、最悪の場合もう2度と目を覚まさないこともありうることを…そして今日、普通の人なら死んでしまう重症を負っている結合はようするにヤバい。

「美結!俺の父さん呼べ!急げ。」

「うっうん」

「真、結合の父上に連絡しろ。」

「OK。」

「どうしたんだね?海くん。」

自分の娘が助かったことで喜びに満ちている校長が呑気に聞く。海は…

「うっせぇ。お前の娘助けて、回復させたから元々普通の人なら死ぬ怪我を負っていたこいつは死ぬかもしんねぇんだよ。わかったら黙っとけ。」

「海。退きなさい。」

「っ父さん結合が…」

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