咲き誇るものは忍の恋なり

「はぁ～......。」

「どうした？結合」

昼休み。いつも元気な結合がため息をつく。

「だって～。転入生にも会えなかったし～。そのままもうお昼だよ？」

「ね～......」

珍しく美結までもが暗い。

「「転校生がそんなに大事かよ...」」

それに少し呆れる海と真。

「「大事だよ！！」」

目を光らせて言う結合と美結。海と真は苦笑した。

「なぁ......何かあっち騒がしくねえか？」

「確かに......」

何かに気づいた海に真が肯定する。海の目線の先には、

「すっごーい！紫音ちゃん、料理も出来るんだ！」

「うぉーっ！四葉、お前すげぇな！」

「いいな～...私不器用だから...。」

と騒ぐ女子男子と

「いえ......趣味程度ですので...大したことはありませんよ？」

と返答する1人の女子。

「...あっ！天音先輩～！」

たたたっと、結合が集団の1人に近づいていく。

「あ、結合ちゃん！どうしたの？」

彼女は天音 皐月。結合の委員会の先輩だ。

「これ、何の騒ぎ何ですか～？」

「これはね～...今日うちのクラスに来た転入生を......うーん...褒め称える会？」

「！！」

「「転入生！？」」

見事にハモった結合と美結。

「そう。四葉 紫音ちゃんっていう女の......」

「「紫音！？」」

結合達4人は思わず叫んだ。天音の言った名前は、破壊活動をしている男達の1人と同じ名前だったからだ。

「.........」

ふいに騒ぎがおさまった。......まあ、原因の大部分は、結合達の叫びにあるのだろうが。

「...あ...何かご用ですか？“私”は確かに紫音と申しますが......」

結合達の前に事の張本人が現れた。紫色のストレートの髪に赤みがかった紫色の瞳。外見の特徴だけならあの紫音と似ている。だが、声にはあの紫音のような冷たさがない。さらに、あの紫音はこんなに柔らかく、優しく笑わない。......第一、あの紫音は男、今目の前にいる紫音は女だ。そう考えた4人は、この“四葉 紫音”という人間が、あの“紫音”であるという考えを取り払った。