咲き誇るものは忍の恋なり
「......その父さんの予想が外れた。能力が劣ったってワケだよ!」

星羅があざ笑うように言った。

「......とりあえず、戦おう。」

「「うん」」

海の呼びかけに、結合、美結、真が答える。

「紫音先輩はあっちに行ってて!」

「...はい...。すみません。お気をつけて......!」

「もちろん!」

紫音はだんだんと集まってきた人混みの方へと移動した。

「あんたら、昼休みなのに何で来るの!?せっかくの紫音先輩とのお喋りタイムが!」

「ホント!」

「「そこかよ!」」

結合と美結が昼休みに来ないで欲しいと考える理由に、海と真がつっこんだ。

「っるっせーなぁ......!」

星羅がいつ来てもいいだろというように一言言った。

「......そういえば...もう鬼はいないのね...あれ?あの紫の髪の男は?」

結合が気づいたことを口にする。

「?あぁ......どっかの裏切り者さんのせいでエネルギーがなくなったんでね!あと紫音は......風邪だ!」

“どっかの裏切り者さん”とは澄晴のことだろう。少なくとも星羅は根に持っているようだった。

「そんなことはどうでもいいの!...てか、風邪ひくの!?まぁいいや、鬼火!!」

「水奏!!」

結合と美結が冴音に向かって術を放つ。炎と水が交差しながら冴音に迫る。必ず命中する......。誰もがそう希望を抱いたその刹那、冴音の前に風のように現れた“何か”を起点として円を描くものが炎と水を斬り裂いた。煙があがる。

「「!?」」

周囲は驚愕の色に染まる。やがて煙が晴れ、そこに待っていたのは......衝撃的で残酷な、信じ難いものだった。
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