咲き誇るものは忍の恋なり
「嘘......!どうして!」

「紫音先輩......!!」

「先輩......!!」

「まさか......!!」

冴音の前に立っていたのは、菱川中の制服を着ながら、双剣を持った紫音だった。

「ご苦労様です、紫音。」

「いえ。ただ...申し訳ありません。内部分裂は不可能でした。」

「気にすることはありません。よく頑張ってくれました。」

冴音と紫音が会話する中、周りでは

「嘘だろ......!?四葉さん...」

「私達を騙してたの!?」

という声があがる。

「紫音先輩どういうこと!?」

「騙してたの!?」

結合と美結も悲痛な声をあげる。

「......ああ。そうだ。」

紫音は先ほどまでとはうって変わった冷たい声で言葉を発した。

「そんな......!」

「.........。」

結合と美結は言葉を失う。周りからは

「ふざけるな!!」

「最低......!」

という罵声があがる。紫音はそんな言葉を発する人混みを睨み、

「その言葉そっくり返す。」

と話し出した。

「所詮この世は嘘と幻。『信じてる』『仲間』『友達』...こんなことを言っていても、中で何を思うかなんて解らない。それだけじゃない。自分が必要ないと考えればその言葉は嘘だと言う。少なくとも人間なんてそんなものだ。」

この言葉に皆は怯む。

「そんなこと......!」

「黙れ。」

「そんなことない」と反論しようとした結合の言葉を紫音が遮る。そして

「お前らに何が解る?お前ら“人間”に......!」

憎悪のこもった目で結合を睨んだ。

「......紫音。」

「自分を第一にしか考えることの出来ない“人間”に俺達の何が解る......!?」

冴音の呼びかけにも紫音は反応しない。

「紫音!」

冴音が声を大きくした。

「!!......主。」

「戻りますよ。星羅も。」

有無を言わさぬ声で冴音が言う。

「ああ!」

「......はい。」

“シュッ”

冴音らが去っていく。彼らにとって不利な状況ではなかったが、何故去っていったのか......こんなことを考える者は1人としていなかった。
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