咲き誇るものは忍の恋なり
「結合。俺らの知っていることを全て話す。まず......単刀直入に言う。お前の母親、日下部秋華を殺したのは、紫音.........だ。」

「.........っ!」

驚いて声の出ない美結、海、真。当の結合からは、殺気が溢れ出していた。

「ちょっ、落ち着いて聞けよ結合!!紫音にも理由はあったんだって!」

星羅が叫ぶ。

「......理由?」

美結が消え入りそうな声で口にする。

「......それを話す前に、もう1つ言うことがある。落ち着いて聞け。紫音は.........結合、お前の............姉だ。」

「え............?」

途端に、結合の殺気が消えた。

「紫音には、生まれつき特異な能力があった。だから、周りに恐れられていたらしい。............そして、結合が生まれた。お前は普通だろ?紫音は“特異な自分”より“普通な結合”の方が“愛されている”と感じていた.........。」

「そんなっ!母さまはそんな人じゃ......!!」

結合が澄晴の言葉を遮って言う。それに

「だが。」

澄晴は力強く言葉を放った。

「それを裏付ける出来事が起きてしまった。......お前の両親は、紫音を人買いに売った。こんなことは言いたくないが、捨てたんだ。」

「嘘............!?」

「お前がどう思おうが、人買いに売ったことは事実。紫音は怒りと憎しみで能力の暴走を起こし、結合、お前の目の前で日下部秋華を......殺した。」

「「.........」」

辺りが静寂に包まれる。

「紫音を.........責めないでほしい。あいつは、俺らよりも暗いものを持ってるから.........」

星羅が悲痛な声で訴える。その時

「うぅ.........ひっく.........うぅ............」

どこからか泣き声が聞こえた。
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