咲き誇るものは忍の恋なり
“ザシュッ.........”

刹那。何者かが現れ、結合の前へと飛び出した。

「............!!父......上.........!?」

「と、頭領ッ!!」

現れたのは結合の父であった。彼は紫音の攻撃から結合を庇ったのだ。

「チッ......人間はどこまでも、邪魔をする.........!」

“バッ”

紫音は飛び去ってしまった。やがて姿は見えなくなる。

「紫音............」

哀しげに冴音が呟いたその時

「父上ッ!!」

耳をつんざくような叫び声がした。

「結合、落ち着いて!」

「まずは手当てを.........!」

叫び声の主は結合だった。父は紫音の攻撃をまともに受け、生死の狭間といったところだ。そして、叫ぶ結合を宥める美優と海。冴音が澄晴を呼んだ。

「どうした?」

「結合の父上の回復を.........」

「もとよりそのつもりだ。皆、どけ。」

澄晴が騒ぎの中心へ歩み寄り、結合の父の傷口に触れる。

「澄晴.........?」

「何も心配することはないぜ。」

不思議そうな美結に星羅が言い、

「澄晴はある種の回復術を持ってるからな。」

と続けた。

「ですが.........」

冴音が話し出した。だが

「.........いや、何でもありません。」

と黙ってしまった。

(紫音の攻撃の傷は深い。あれではいくら澄晴でも.........難しいでしょう......)

冴音はそう考えていたのだった。
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