まだ恋は始まらない
「いや、資料室に来たら人が倒れてたから」

倒れてたから何?とは突っ込まずに、とりあえずお礼を言って立ち上がる。

「!?」

髪は解けてるし、メガネは何処かに行って無い。素顔で人と接するなんてありえない!?

慌てて、俯いて顔を隠しキョロキョロとメガネを探しだす。

「何?・・あぁもしかしてメガネ?」

「あ、はい。」

水口修也の胸ポケットから私のメガネが出てきたので、ありがたく受け取ろうと手を伸ばしたらその手を掴まれた。

「メガネ無い方が可愛いな」

覗き込まれ、凄く近い位置でニヤリと笑いながらイケメンオーラ全開で、低音の声優声でそう呟くもんだから、腰が抜けるほど驚いた。
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