窓の外は晴れ
店を出ると、富田の車が止まっていた
美「あの…じゃあ私はこれで…」
富「…ん?乗っていきなさい」
美「いや…でも…」
富「なんだ、私がただでバックにつくとでも思っていたのか?」
美「え…?どういう事ですか?」
富「…言わなくてもわかるだろう?乗りなさい」
富田に背中を押され、私は車へと乗り込んだ
これって……枕営業だよね…
佐々木の奴…
どこまで私を馬鹿にするつもり?
売名行為の次は枕営業…?
そんな事しなくたって私は…
大丈夫だったのに。
私は富田に聞こえないように、小さく舌打ちをした
そんな私の手を富田が握ってきた
富「初めてか?」
美「え?…」
富「枕営業…初めてか?って…」
そんな唐突に訊くんだ。
"営業"ってちゃんと理解してるんだ
美「始めてです…ていうか…」
したくないです。
私はなぜだかその言葉を飲み込んだ
今言ってはいけない事のような気がして…
富「俺は別に色をかけて欲しいわけじゃない。
だから別に俺の事を好きなフリをしなくてもいいし、俺の女と名乗らなくていい。ただ、一緒にいて欲しい夜だけ一緒にいてほしいだけだ…」
葉巻をくわえた富田の横顔は寂しそうだった。
私の視線に気付いたのか「…葉巻、臭いだろう」そう言うと窓を開け、煙を外に向かって吐いた