窓の外は晴れ





隣に寝てみたものの富田は一向に私に手を出してこなかった。

これでも、腹をくくったつもりなのに……。
私は正直、イラついていた





抱くなら早く抱けばいい

早く終わらせて、いっそ心をめちゃくちゃに壊して欲しい。そしたらこの過酷な芸能界にも耐えられそう

耐えられそう…というか、もう悲しくなったり心が傷んだりいちいち感じる事もなく、刻々と芸能界を生きていけそうな気がする

だから早く抱けばいいのに…



隣の富田の顔を見てみると目を瞑っていた





美「…寝てるんですか?」



富「…まだ寝てないけど、寝ようと思う。」



美「どうしてですか?私じゃ不満でしたか?」



富「…安心しろ。バックにはつくから」



美「抱いてください」




そう言った私に、富田は驚いた様に目を開けてこっちを見た




富「…今日はそんな気分じゃないんだ…自分を安売りするのはやめろ。美織はそんな女じゃないはずだ」



美「じゃあ、私はなんで今ここに居るんですか」





私は震える声で富田に言った

富田は顔色を変えない





美「…私のした事で今、円衣裕太を敵にした事で仕事が無いんです
でも私は、芸能界で生き残らなきゃいけないんです

だから早く抱いてください!
お願いします…このまま何も無く帰ったら、もう二度ここに来る勇気なんて無くなる…。
もう何もかも嫌になりそうで投げ出しそうになる…
お願いします…。」





多分、私は泣いていたんだと思う

焦り?不安?
私の心は病んでいる?

今ここで、変わりたかった
なんでも良い

どんな事でも良いから、円衣裕太が知ってる私のままじゃ駄目な気がしたんだ



これが間違いなのか、正解なのかなんてわからないけど、でも押し潰されそうな不安を無くす方法は、富田に抱かれるしか無かった
21歳の…本当に幼稚な、精一杯の考えだったんだ



富田は何も言わずに私の上に覆い被さるとキスをしてきた。
何も感じないキス…
手はバスローブの紐を解き私の体は富田の前で顕になった


富田が私の身体に優しくキスをする…


私は目をギュッと瞑った
暗闇の中、見えたのは円衣裕太の笑顔だった



ごめんね…裕太……


ごめんね…


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