窓の外は晴れ
行為が終わった後、私は富田に背を向けて寝ていた
富田も私から背を向けベットに座りながら、葉巻を吸っていた
会話は無かった。
私はいつの間にか寝てしまった
目覚めて回らない頭で覚えているのは、凄く悲しかったって事
なんだかわからないけど、凄く悲しくて不安なんて取れやしなかったんだ
起き上がると隣に富田の姿は無かった。
シャワールームからは、シャワーが流れる音が聞こえてくる
美「おはようございます」
富「おはよう…
二日酔い、してないか?」
美「大丈夫です。富田さんは?」
富「一度で良いから酔っ払ってみたいと思う程、俺はザルだ。」
昨日の事、何も言わないんだね
正直私の想像していた枕営業ってもっと女が頑張って頑張って喜ばせて、嫌でもベタベタして…ってそんなイメージだったけど、なんか全然違った…
富「美織、これ。」
富田が差し出したものはカードキーだった。
富「ここの部屋の鍵、持っとけ」
美「良いんですか?」
富「俺がいなくてもいつでも好きな時に来て好きに使えばいい。下の奴等には言っとくからフロントに声もかけなくていい。真っ直ぐ、この部屋に来な」
美「…ありがとうございます」
私はカードキーを受け取った
富「俺、直ぐ仕事で行かなきゃいけないんだ。
下に送りの車用意してあるから好きな時に出て送ってもらえ。俺が送れなくて悪いな…」
美「いえ…こちらこそ良くして頂いてありがとうございます。」
富「…そこのテーブルに俺の名刺が置いてある。連絡してくるもしないも美織の好きだ…じゃあな」
玄関まで見送ると富田は振り返りもせずに出ていった