窓の外は晴れ




―――――


円衣裕太を失って1ヶ月

更に、富田に抱かれてから1ヶ月経った頃

富田のバックアップのお陰もあってか私は徐々に仕事を取り戻し、テレビに出る機会が増えてきていた


佐々木の言う通り鬱病を告白すると週刊誌もこぞって報道した

どこかの雑誌が『瑞乃美織、復活劇!鬱病に苦悩した日々…』なんて見出しで売り出していたな…




2ヶ月の時間を掛けて、芸能界への復活を果たした私には、いつのまにか「富田の女」としての噂が立っていた。

円衣裕太と瑞乃美織の熱愛報道のネタは業界内ではタブーとなり、富田と私の関係を探ろうとする記者は誰一人として居なかった





美「…ねぇ、富田さんって本当に何者なの?富田さんと関わってるってだけでみんな掌返してきた」



佐「知らなくていいって…良かったじゃないか、富田さんに守ってもらえるんだから。
美織には富田さんの方がお似合いだぞ」




無神経な佐々木の言葉に、また心は黒板を削った時に出るような音を立ててギリギリと痛む




美「やめてよ…その話は。
それに私、富田さんの彼女でもなんでもないよ。
この前、愛人?って訊いてみたけど違うって言われた。じゃあセフレ?って訊こうとしたけどあれ以来してないし…富田さんって、なんで私といるんだろう?」




佐々木は聞いているのかいないのか、返事もせずに手帳を見ていた
私は構わずに続ける




美「…最初はさ、何だこの人って思ったけど。私と二人の時とか家にいる時はなんかいつも、悲しそうな人なんだよね」



佐「まぁ…そういうもんだよ、社長なんてのは。
仕事だけの繋がりに本心を見せる必要ないって事だよ…美織には心開いてくれてるんじゃないの?」




「うーん」続きを答えようとしたところでテレビに円衣裕太が映った
また主演映画か…。
円衣裕太はその番宣で出演していた

円衣裕太の笑顔を画面越しに見つめると私は静かにテレビを消した


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