窓の外は晴れ
厳しい雪道、バスを乗り継ぎ1時間ほど歩いた。
更に奥の方に来ると、雪は駅前よりもはるかに積もっていた。雪国の人が強いのにも納得がいく
芯まで冷えた掌に、息を吐きながら歩いていくと1件の小さな家が見えてきた。
その家の前で雪掻きをしている人影…ーーー
涙が出た。
やっと……やっと会えたね…
そこには、ボロボロになった白と青の手編みマフラーを巻いた円衣裕太の姿があった。
私はゆっくりゆっくりと、円衣裕太に近づいた
雪を踏む音に気付いた円衣裕太が顔をあげた…
裕「……美織…?」
美「なんで…そんなボロボロのマフラー…まだ巻いてるの……」
ボロボロと止まる事を知らない涙は、私の頬を流れ続ける。まるで、10年間のわだかまりを流してくれるようだった
裕「霜焼けしてる……。」
私の手を取り、真っ赤になった手のひらを握り締めた円衣裕太は、自分の首に巻いているマフラーを半分はずすと、私の首に巻いた
そして、強く強く思い切り抱きしめた
美「…裕太、会いたかった…
ずっとずっと好きだった」
裕「俺だって…ずっと美織の事想ってた。
ありがとう。会いに来てくれて」
真っ白な雪景色の中、私達は泣きながらキスをした
ボロボロになったマフラーは、しっかりと私と裕太を繋いでくれた
end