窓の外は晴れ




佐「美織…円衣裕太の事知らないのか?」


美「…知らない」




佐々木はまた溜息をつくと手元のパソコンで素早く何かを検索し、あるページを開き私に見せてきた

私は黙ってそのページを凝視する



佐「…名前は円衣裕太(まるいゆうた)
ファンからはマル…なんて犬みたいな相性で親しまれている。歳は23歳
まぁ見た目も犬みたいな可愛い顔立ちなんだが、立ち振る舞いや演技は男らしくて業界でも注目を集めている若手俳優だ。」


美「マルねぇ…
確かに綺麗な顔立ちしてる。
この顔、本当に天然かなぁ?」


佐「円衣裕太の事務所はあの大手A社だ。
今期は全面的に円衣を売ってくるつもりだろうな
対したもんだよ…写真集は勿論。
CMで円衣の宣伝したものはバカ売れ…

この若さと、短い業界歴を感じさせない天才的な演技。それに加えて恵まれた容姿。まさに、芸能界に生きる為に生まれてきたような奴だな…」




美「なんでそんな凄い俳優が…
私みたいないつまでも全然芽が出ない落ちこぼれ女優をゲストに?」


佐「それは…俺のコネ!
A社に昔からの知り合いがいるんだよ。一生の頼みって頭下げてきたんだ
チャンスはたったの1回…円衣に気に入られるか、リスナーの耳に止まるようなトークをするか。とにかくなんでもいいから爪痕を残してこいよ」




私はプレッシャーから目を逸らすように、円衣裕太のホームページに目を落とした。


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