窓の外は晴れ
PV撮影の現場に向かう車の中、ひたすら携帯とにらめっこしていた
訊きたい…
円衣裕太に訊きたい。
明日の食事会に来るのかどうか訊きたい…
私もその食事会に行く事言いたい
訊きたい訊きたい訊きたい!!!!
言いたい言いたい言いたい!!!!
あーーーーーーもう!!!
佐「……織、美織!!」
美「え?」
佐「さっきから呼んでるのに何ボーっとしてるんだよ。現場、ついたよ、ほら早く。」
美「…もう着いたの?」
現場入りしてからはバタバタだった
メイクをして衣装を着替えて、PVの流れや雰囲気を説明されて
やっと共演者との顔合わせだった
私の他に2人女が座っていた
美「お疲れ様です。瑞乃美織です
今日は宜しくお願いします」
座っていた女達は「はーい」とだけ。こっちを見もしなかった
感じ悪……
女を見るとよく見た事ある人物だった。二人ともモデルで、一人は大人綺麗系
もう一人はモデル界の中ではトップクラスの紗保(さほ)さんだった
紗保さんは私が昔から大好きなモデルだ。
そんな紗保さんと共演?
聞いてなかったよ…嬉しい。
私は思い切って紗保さんに話しかけた
美「あの…ファンです!」
紗保さんは鏡とにらめっこしていた顔をあげて、こっちを向くと睨むように頭から爪先まで舐め回しながら見てきた。
紗「…瑞乃さん、だっけ?
あなた、女優の癖にモデルのファンなんだ。」
美「いけませんか?」
紗「…女優ならもっとお高く止まれば?…だから売れないのよ。貧乏オーラ出しまくり」
はぁ?めっちゃ性格悪いじゃん…
紗「…何?その目。」
紗保さんは小さく舌打ちをすると何処かに行ってしまった
……憧れてたのに…
ショックを隠せずにいた