窓の外は晴れ
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徐々に名前が売れ始め、仕事仕事の毎日だった
円衣裕太とはろくに連絡もとれずにいた
この日は雑誌の取材と、クイズ番組の収録を終えて遅くまでドラマの役作りをしていた
家に帰ってきたのは深夜の2時
クタクタで帰ってきて、吸い込まれるようにベットに倒れ込んだ
その時、携帯が鳴った
やっとの思いで携帯を取ると、着信は円衣裕太からだった
美「もしもし?」
裕『あ、美織ごめん寝てた?こんな時間だもんな…』
美「今帰ってきた所だから大丈夫だよ。なんか久しぶりだね…」
裕『ごめん…最近本当に忙しくて気付いたらいつもこんな時間で、悪いなって思って連絡しなかったら、また朝になって忙しくてで…』
美「仕方ないって、謝らないで。
裕太が売れてるのは凄い嬉しい事だし、それに私も最近そこそこ仕事が増えてきて忙しくて。
…私こそ連絡入れなくてごめん」
しばらく沈黙が続いた……
裕『…良かったぁ
もう忘れられたかと思った…』
美「忘れるわけないじゃん。
私、今頑張ってるんだ…
裕太くらいのレベルになれたきっと、事務所も、みんなも、認めてくれるんじゃないかって思って」
裕『美織、まだそんな事言ってるの?そんなの誰も気にしないよ。美織が頑張りすぎて体壊す方がヤだ。
…あぁ、会いたいな。』
美「だって…本当に初めてなの。こんなに好きになったの。だから絶対、裕太とは離れたくない
そう思えば思うほど、頑張らないとって……」
裕『美織…俺、周りの評価なんか気にならないよ…。てかそんなもの俺らに関係ないじゃん…
美織は、俺の事が好きなんだろ?
それだけでいいんだよ。
頼むから自分の事、駄目な奴みたいな言い方すんなよ』
久しぶりに聞いた声
切羽詰っていた私の絡まった糸を簡単に解いてくれる優しい声
美「…会いたい…会いたいよ…」
裕『泣いてるの?』
美「…泣いてない」
裕『…直ぐ行く。直ぐ行くから』
電話が切れた
自分が自分でわからなかった
何が悲しくて泣いてるのか、全然わからないのに涙が止まらない…
携帯を持ちながらわんわん泣いた、大声で泣いた
散々泣いたあと、顔を洗おうと立ち上がると同時にまた電話がかかってきた
裕『駐車場、オートロック開けて』
駐車場まで出迎えに行かないと…
カーディガンを羽織り、玄関のところでインターホンが鳴った
だれ?