窓の外は晴れ
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円衣裕太に連れてこられた場所は、横浜のあるラーメン屋だった
ひっそりとただずむラーメン屋は、一見ただの何処にでもありそうな見た目なのだが、何故だか懐かしいというか…
私はこの店の雰囲気を知っている気がした
円衣裕太の後について店内に入ると、客は誰もいない。店長と見られる男は挨拶もせず、新聞で隠れて顔すら見えなかった
裕「美織、何にする?」
カウンターに座った円衣裕太の隣に座りメニューを眺めた…
美「んー…」
裕「因みに俺のオススメはラーメン!」
美「じゃあその、オススメのラーメンにしようかな」
裕「了解!オヤジラーメン二つ」
「……」店長は返事もせずにラーメンを作り始めた。
感じ悪い…そう思った時だった。だんまりを決め込んでいた店長が口を開いた。
こっちを向かないまま、背を向けて言葉を発した
「………彼女か?」
正直、そこ?!とも思ったし、初対面で男女が来てて大体見ればカップルかくらいわかるでしょ…
だが、円衣裕太から発せられた言葉を聞いて私は更に驚いた
裕「そうだよ、美織っていうの。」
「…珍しいじゃねぇか…お前が俺のとこに女連れてくるなんて」
裕「ん、特別だからね」
安定感のある会話
円衣裕太はこの店によっぽどよく来るのだろうか…
店長が振り向き初めて顔が見えた
「…ラーメンお待ち!」
ドン!!!!っと音を立てて出されたラーメンは、やっぱりありがちな見た目で、嬉しそうに「いただきます!」とラーメンに食らいつく円衣裕太を横目に私も一口、麺をすすった
美「…………美味しい…」
その言葉を聞いた円衣裕太と店長は同じタイミングで笑顔になり、同じタイミングで「だろ?」って笑った