窓の外は晴れ





そのまま夜空を見上げた円衣裕太は気まずそうにこっちを見てきた




裕「怒ってる?」



美「…ん、ちょっと怒ってる。だって、ちゃんと挨拶したかったよ裕太のお父さんには…」




ちょっと意地悪してみる




裕「ごめん…
俺んちフレンドリーだから、そんな堅苦しく挨拶とか…いやでも、そういうの関係無しでも普通最初に言っとくよな。うん、俺が悪かった…ごめん。」



美「………」



裕「美織?」



美「…ふふ、あははは!嘘!
ごめん、全然怒ってないよ。
裕太、真剣に謝るんだもん可笑しくって…ふふ」



裕「騙したな…でも良かったぁ美織に怒らせたの初めてだったからもうどうしようかと…」



美「裕太がお父さんのお店に連れてきてくれたのに怒るわけ無いじゃん!嬉しかったよ」



裕「…美織…」








父「…美織…」



後ろから円衣裕太の真似をして同じセリフが聞こえてきた。

私と円衣裕太は恐る恐る振り向くとオヤジさんがニヤニヤしながら暖簾から顔を出している





父「店の前でイチャイチャしないで頂けますでしょうか?」



裕「あーもう!うぜぇーーー!!
クソ親父が覚えてろよ!!!!」






円衣裕太は顔を真っ赤にして私の手を引くと店を後にした

振り向くとオヤジさんはまだ暖簾から顔を出していたので会釈をすると、大きく手を振ってくれた

良い人なんだろうな…



円衣裕太のお父さんに会えて、お父さんを知れて、なにより円衣裕太が父親に私の事を紹介してくれたのが嬉しかった




裕「美織なに笑ってんの?」




振り向いた円衣裕太が不思議そうに訊いてきた




美「んーん。何でもないっ!」



裕「何だよ教えろよ」





円衣裕太は気になって仕方ない様子で何度も訊いてきたが、それを笑顔で流した

私達の幸せそうな笑い声は、横浜の夜空に響いた



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