窓の外は晴れ


――――


美「おはようございまーす」



佐「…美織!!」




佐々木さんの反応にちょっとひびる。まさか昨日、円衣裕太と一緒にいるところを見られたんじゃ…




美「…なに?」



佐「…これから収録のドラマ、ほら主役とヒロインの邪魔する役のさ…」



美「あぁ、それがどうしたの?」



佐「急遽、A社からヒロイン役の女優の変更があったらしいんだ。その新しいヒロイン役ってのが、ほらあの、紗保ってモデルの…」



美「紗保さんがヒロイン役?!」





"裕太に近づかないでくれる?"



紗保さんに言われた言葉が蘇った


紗保さんは間違いなく円衣裕太の事…

もし、私と円衣裕太の関係を知ったら紗保さんは私をどう思うのかな…





佐「美織?どうしたんだ怖い顔して…そういう事だから少し練習してきたのとイメージ変わるかもしれないけど、そこら変はうまく調節してやってくれな。」



美「撮影って今日からだよね?
紗保さん間に合うのかな?」



佐「まぁ厳しいだろうが、そこは美織の演技力でカバーでもしろよ。監督の目に止まるぞきっと」






佐々木は、本当に私を売る事しか頭にない…
まぁ、当たり前か。
マネージャーなんだし
私が売れなきゃマネージャーだって稼ぎはない


言ってしまえば私は、佐々木のゲームのようなモノだよな…

芸能人を操ってるのは実は裏のマネージャーで、それは世間を喜ばせる為では無く自分の稼ぎの為にしてる事で…



だからこそ、円衣裕太を売名行為に使うなんて残酷な事も選択できる



でも私はゲームの中のキャラクターなんかじゃない。
選択された事を全て成し遂げる人形ではない…



売名行為なんてしなくたって走り続ける円衣裕太の後を、私は走る事が出来るって…今度こそ。世間に…

佐々木に……



私は台本を強く強く握り締めた



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