迷走女に激辛プロポーズ
ポチャーン、と湯船に水滴が落ちる。
気付かなかったが、どうやら私の体は酷く強張っていたようだ。

湯船に浸かり、解れていく体と心を感じながら、夢見心地に思う。
佑都とキスをしたんだと……。

ソッと指で唇を撫でる。
途端に甘酸っぱく、くすぐったい感じが胸をキュンと締め付ける。

ウワァァァ! どうしよう!

急にテンパる私。
一人悶絶を繰り返し、挙句、ブクブクと湯船の中に潜水する。

音もない真っ暗闇の中、しばし考える。

佑都とのキスは婚約者のとは全く違った。
体を電気が突き抜ける感じ……ドラマみたいだが、本当に起こった。

想像通り嫌じゃなかった。むしろそれ以上だった。触れられる度、もっと欲しいと唇が佑都の唇を求めた。

ん? もっと……欲しい?

ウワァッ! ザバンとお湯から顔を出す。
もっとって……もしかしたら私、キス魔だったのか!
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