迷走女に激辛プロポーズ
白百合のような人は目を見開きポカンと口を開く。

「あのね、私と佑都は付き合っているけど、婚約しているわけでも、まして結婚したわけでもないの。そういう意味では彼はまだフリー! お分かり?」

どうよ、と彼女を見る。

私のやさぐれた態度が彼女をビビらせたのか、白百合のような人は顔を引き攣らせ頷く。

「但し、確約的なことはないけど、現在、私たちは恋人同士なの。これもお分かり?」

白百合のような人が渋々頷く。

「そこでハッキリ言わせてもらう! 今、私は佑都と別れる気はない」

白百合のような人の顔が暗く歪む。

「だから私に別れを頼むのはお門違い。分かる?」

腕を組み、睨み付けるように白百合のような人を見、目線を上げる。

私が百六十センチだから、彼女の方が五センチほど高いが、ペッタンコ靴とヒールだから同じぐらいか、とどうでもいいことを思う。

「だからね、それを言うなら佑都に言いなさい」

ハァ? 白百合のような人が間抜けな顔になる。
和美人の間抜け面は……悔しいが、やはり美人だ。
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