迷走女に激辛プロポーズ
従順に後を付いて行くと佑都は隣室のミニ会議室に入る。

「女子会って、飲みに行くのか？」
「お茶会じゃないよ」

真面目に言ったのに、バカにするな、とポコンとまた丸めた書類で叩かれる。
コヤツ武器持参で来たのか、卑怯者め！

痛くないけど頭をナデナデしつつ、不貞腐れながらもちゃんと答える。

「そうみたい」
「他人事みたいに言うな！　フン、女子会という名のただの飲み会じゃないか！」

ちゃんと答えたのに……なぜ怒る？　飲みにならいつも一緒に行っているだろう、と佑都を見る。

「俺以外の奴と行くのは初めてだな」
「ん？　あっ、そう言えば……」

社内外でプライベートの付き合いは佑都以外なかったからなぁ、と思い返す。
よく考え……なくてもだが、私、友達いなかったんだ、と今更ながら我が身が不憫になる。

「メンバーは竜崎課長と神崎君だな」
「あっ、それと百合子さん」

間髪入れず付け加えると、何だそりゃ、という顔をするので、やっぱりお主もそう思うよね、と心の中で握手する。

「帰る前にメールしろ。何時になってもだ！　迎えに行く」

ハァ、お迎え？　お子様やお姫様でもあるまいし、結構でございますと言いかけ、佑都の怖い顔を見て口を噤む。

「分かったな！」

摂氏零度の眼で見られ、強固に念を押されたら、頷くしかないだろう。
『だからぁ、安易に頷くべからずだよ。学習しろよ』と突然ちゃぶ台の私が現れ叱咤する……だよね。
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