迷走女に激辛プロポーズ
到着したのはグランドステイKOGO。

格式高いホテルを見上げ、居酒屋じゃないんだ……と地味にビックリし、イメージしていた女子会会場とのギャップに、思慮の浅さを思い知る。

そして、ホテルに足を踏み入れると白百合のような人こと、百合子が駆け寄って来た。相変わらず楚々とした美人だ。

「女王様、楓お姉様、帝ッチ。お待ちしておりましたわ」

女王様? 帝ッチ? 疑問はすぐに解かれる。例の如くSNS関連だ。
清香と百合子は、あのボイスレコーダー以来の仲らしい。

女王様、帝ッチはハンドルネームだと言う。
言わずとも分かる女王様が清香。そして、帝ッチが遥香で、帝のパパラッチを短縮したものらしい。

ネーミングの上手さに、座布団、二枚! と国民的テレビ番組を真似、ちゃぶ台の私に指示を出そうとしたが、ちょい待て、ここは天下のKOGOだぞと、場違いな思いを振り払う。

清香を先頭に、鬼が島に向かう桃太郎御一行のように、私たちは直通エレベーターに乗る。
向かった先は二十三階のエラブル・バー。

ハイソな人たちが集まることで有名なバーだが、どうやら清香はここの常連のようだ。本当に彼女は得体が知れない。
< 147 / 249 >

この作品をシェア

pagetop