迷走女に激辛プロポーズ
「あのねぇ、どうして不幸と決定付けるわけ、まったくもう……」

遥香は百合子の涙をハンカチで拭いながら、彼女の背中を撫でる。

そのうち百合子は遥香の肩に頭を預け、ヒックヒックとしゃっくりをあげながら子供のように眠ってしまった。どうやら彼女はカクテル二杯が限界らしい。

無垢で美しい眠り姫を見つめながら、佑都との見合いがなくなって良かったとどす黒い気持ちが湧き出る。嗚呼、やっぱり私は嫌な女だ……。

「ハイハイ、ちょっと今までの話を整理するわね」

清香が脱線した話を元に戻す。

「で、出会ったのは一か月前。場所はお見合いに行ったホテル。颯爽と現れた王子様が、落として壊れてしまったと思ったスマホをアッという間に直してくれて、その王子様が実は矢崎課長だった、という訳ね」

流石、やり手の竜崎課長。あの長い話を簡略明瞭な5W1Hにまとめあげるとは……。恐らく彼女、人材アセスメントはトリプルAに違いない、と迷探偵並みの推理をする。

「そうなのです。密かに恩人を探していたのですが、広い地球でなかなか見つからず諦めていたのです」

地球って……お主やっぱり宇宙人だったのか?
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