迷走女に激辛プロポーズ
「あの時の課長ってば別人みたいにカッコよくて、ゴミ男君と同一人物だとは……本当、灯台下暗しでした」

一か月くらい前というと……アメリカ出張辺りかな、と思い返す。
そう言えば、帰国直後は小マシだったような……。

「カッコイイねぇ。百合子ちゃんがこれだけ美人だから、全力で否定はしないけど……アレで良¥いいの?」

清香はソルティドッグの塩をペロッと舐め、遥香に疑問の目を向ける。
矢崎課長はとうとうアレ扱いになってしまった……。

「はい! ですので、皆様にお願いがあって、今日集まって頂いた次第です」

相談ではなくお願いに変更したのか? 妥当な判断だ。
入店してほぼ二時間。ようやく本題に入った……長い道のりだった。

「それで、私たちに何を願うの?」

清香が訊ねる。

「はい、特別何かではないのですが……私、こう見えて自分から好きになったことなくて……だから」

遥香は照れ臭そうな顔を隠すようにカルーアソーダーをコクコクと二口飲み、一気に言う。

「私、矢崎課長に告白します。アタック開始です!」

エッ、それが言いたかったの?
遥香の決意表明に百合子がパチリと目を開ける。
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