迷走女に激辛プロポーズ
「遥香ちゃんの気持ち分かるわ。本気で好きになったら、男も女も同じ。その人の全てが欲しくなる。当然のことよ。触れたい、キスしたい、それ以上……」

「アァ! それ以上言わないでください。妄想でキュン死しちゃいます」

遥香の顔が真っ赤に染まる。
清香も分かるんだ、遥香の気持ちが……。
触れたい……キスしたい……それ以上……したい。

「好きの自覚は、どこでするのかな……」

私の呟きを、清香は聞き逃さなかった。

「それは『自覚する』じゃなく、『感じる』じゃない? 『恋をする』じゃなく、『恋に堕ちる』みたいな?」
「あっ、それ分かります。私、ビビッと感じたんです。そして、考える間もなく堕ちたんです」
「そういうものなのよ恋って」

清香はグラスに付いた塩を舐め、ソルティドッグを少し口に含む。
その顔は憂いを秘め、少し哀しそうに見えた。

「だから、頭で考えているうちは本当の恋は分からない、と今回のことで分かったわけです。従って、今まで婿取りできなかった理由は、ここにあったということです」

結果報告のように告げる遥香に、それは違うぞ、と私は心の中で反論する。
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