迷走女に激辛プロポーズ
「あら、共演者其の壱のご登場だわ」

清香はそう言いながらボーイを呼び止め、ソルティドッグのお代わりを注文する。

「お早いお着きで……白鳥課長、五杯目のカクテル、只今終了致しました」
「連絡ありがとう」

佑都だ。グリーンノートの香りを嗅いだ瞬間、佑都の顔を見た途端、さっきまで感じていた緊張が瞬時に解かれる。

「あれぇ? 私、メールしたのかなぁ」
「お前じゃない。念のため神崎君に頼んでおいた。お前が五杯目を注文したら、連絡くれるようにな」

「何それぇ、信用ないなぁ」
「この状態で、どう信用すればいい?」

佑都との会話が、清香の言葉もグチャグチャの思いも吹き飛ばしてしまう。
フワフワととってもイイ気分だ。やっぱり……酔ってるのかな?

「コイツは連れて帰る。もういいだろ?」
「ハイ、ご遠慮なく」

遥香の言葉に佑都は頷き、端に座る私の腕を掴んで立たせる。

「ここの支払いは心配しなくていい。但し、明日も仕事だ。お忘れなく!」
「あらっ、流石、白鳥課長ね、ご馳走様」
「ありがとうございます。白鳥課長」

二人の言葉につられ、私もエヘヘと笑い「ご馳走様」と佑都の顔を見上げる。

「お前っ!」
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