迷走女に激辛プロポーズ
彼の言い方がいつになく乱暴で、相当私の顔が酷いのか、と真っ青になる。

「どうしよう! 鏡見せてもらえなくて……私、そんなに恥ずかしい顔してるの? だったらもうここには来れない!」

いたたまれず佑都からも顔を逸らす。
彼はハーッと大きな溜息を付くと、更に力を込め抱き締める。

「バカ……その逆だ。クソッ、もう女子会出席禁止だ」

ナヌ? 女子会の楽しみを知ったその日に出禁令? ムカッと頭にくる。

「なぜお主がそれを命じる! この暴君め!」

腕の中から逃れようとジタバタするが、そのすぐ後で、フト思い返し動きを止める。あれっ? 逆って言った? それなら、これからもここに来れる、とニシャリと笑う。

「この酔っ払い、百面相していないで、もう寝ろ」

佑都はクスクス笑いながら、髪を撫でる。

「エーッ、やだよ。顔が気持ち悪い。明日、カピカピになる」

酔っていても想像できる。明日の朝、自分がどんな顔だか。そんなゾンビのような顔で爽やかな朝を迎えたくない。

佑都の腕の中から抜け出すと、キョロキョロ辺りを見回し、フラフラ歩き出す。

「どこへ、何をしに行くんだ」
「洗面所……どこ? 化粧落とす」

分かった、と佑都は私の手を引く。どうやらバスルームへ向かうらしい。

「ん? どうして一緒に入ってくるの?」
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