迷走女に激辛プロポーズ
一本ずつ、心の棘が抜けていく。
そんなことを思っていると赤信号で車が止まり、車窓の外を白い日傘をさした女性が行き過ぎる。彼女の手にはリードが握られ、その少し後ろをダルメシアンが上品な足取りで付いて行く。
あの犬を見ると、百一匹ワンちゃんの悪役クルエラを思い出す。
挿絵のクルエラが、何故か似ても似つかぬ清香の顔と重なる。
クルエラは、ダルメシアン皮のコートをデザインし、ダルメシアンの子犬を欲しがった。
そもそも、何故、犬の毛皮でコートを作ろうと思ったのだろう?
白黒模様なら牛革でも良さそうだが……そこに理由はあったのだろうか?
そんなどうでもいいことを考えながらダルメシアンを見送っていると、信号が青になりゆっくりと車が走り出す。
横目でチラリと佑都を見ると、彼はカーステレオから流れる音楽に合わせ、握るハンドルに指でリズムをとっている。今朝の不機嫌さはもうない。
彼の問いが頭を掠める。『俺がいないとどう思う?』
もし、今見ているこの姿が消えてしまったら……。
そんなことは絶対に起こらない! そう思いながらも体がブルッと震える。
私の小さな異変を佑都は見逃さない。
「ん? 冷房が強いのか?」
腕を伸ばし、手の甲で私の頬を触り、「冷たいな」と言って、エアコンの温度を二度上げる。
そんなことを思っていると赤信号で車が止まり、車窓の外を白い日傘をさした女性が行き過ぎる。彼女の手にはリードが握られ、その少し後ろをダルメシアンが上品な足取りで付いて行く。
あの犬を見ると、百一匹ワンちゃんの悪役クルエラを思い出す。
挿絵のクルエラが、何故か似ても似つかぬ清香の顔と重なる。
クルエラは、ダルメシアン皮のコートをデザインし、ダルメシアンの子犬を欲しがった。
そもそも、何故、犬の毛皮でコートを作ろうと思ったのだろう?
白黒模様なら牛革でも良さそうだが……そこに理由はあったのだろうか?
そんなどうでもいいことを考えながらダルメシアンを見送っていると、信号が青になりゆっくりと車が走り出す。
横目でチラリと佑都を見ると、彼はカーステレオから流れる音楽に合わせ、握るハンドルに指でリズムをとっている。今朝の不機嫌さはもうない。
彼の問いが頭を掠める。『俺がいないとどう思う?』
もし、今見ているこの姿が消えてしまったら……。
そんなことは絶対に起こらない! そう思いながらも体がブルッと震える。
私の小さな異変を佑都は見逃さない。
「ん? 冷房が強いのか?」
腕を伸ばし、手の甲で私の頬を触り、「冷たいな」と言って、エアコンの温度を二度上げる。