迷走女に激辛プロポーズ
「あのしなやかな体つきは私も好きだわ。でも、ブチの付き方で、お顔の美醜が分かれちゃうのよね。そこがちょっと残念かしら」

清香は今日も食欲旺盛だ。
カツ丼大盛定食の最後のカツを口に入れ、満足そうに笑む。

「クルエラがダルメシアンを気に入ったのも、そういう色っぽさとか、女王気質のところじゃないかしら? あの挿絵を見る限り、クルエラってあまり綺麗じゃなかったし、コンプレックスの裏返し?」

清香もあの挿絵を見たのか、と思っていると、彼女は定食のトレーを横に退け、ケーキセットに口を突け始める。

「でも、ワンちゃんを毛皮にするなんて、考えただけでもゾッとします」

遥香がブルッと震える。私も同感だ。清香は頷きながらもクルエラを庇護する。

「犬のコートは欲しくないけど、悪役クルエラの欲望に対する姿勢はお見事かしら、感心するわね」

清香はケーキを一切れ、口に入れる。今日のケーキはオペラ。
カツ丼の後のオペラって……胸焼けしそうだ。

「どんな手を使っても手に入れる……みたいな、イケイケなところですか?」

遥香は杏仁豆腐を口に運び、美味しそうな笑みを浮かべる。
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