迷走女に激辛プロポーズ
「楓、俺たち結婚する?」
「はい?」
いつものカウンター席でお気に入りの厚焼き卵を頬張りかけ、箸を止める。そして、右隣に座る佑都をチラリと見上げ、フンと鼻を鳴らし、黄金色に輝くそれに意識を戻すとパクリと口に入れる。
「はぁぁぁ、美味しい! この絶妙な甘さが家では出せないのよねぇ」
モグモグと咀嚼しながら目尻を下げると、隣で佑都が盛大な溜息を付く。
「お前なぁ、何を聞かなかったことにして、嬉しそうに食っているんだ!」
「何って、いつもの冗談かと思って」
白鳥佑都、三十歳。外資系総合商社“帝”海外事業部広報宣伝課課長。同期だが三歳上。
だが、浪人や落第をしたわけではないらしい。天下のT大を現役で卒業し、その後、世界各国を周遊し、社会勉強をしていたそうだ。だが、これは本人談だ、嘘か誠かは神のみぞ知るだ。
こんな胡散臭い奴だが、佑都は物凄くモテる。
海外でモデルのアルバイトができるほど……実際にしていたらしい。これは事実だろう……高身長で、流行りのシュッとしてスッとした塩系顔。俗にいうイケメン。
「はい?」
いつものカウンター席でお気に入りの厚焼き卵を頬張りかけ、箸を止める。そして、右隣に座る佑都をチラリと見上げ、フンと鼻を鳴らし、黄金色に輝くそれに意識を戻すとパクリと口に入れる。
「はぁぁぁ、美味しい! この絶妙な甘さが家では出せないのよねぇ」
モグモグと咀嚼しながら目尻を下げると、隣で佑都が盛大な溜息を付く。
「お前なぁ、何を聞かなかったことにして、嬉しそうに食っているんだ!」
「何って、いつもの冗談かと思って」
白鳥佑都、三十歳。外資系総合商社“帝”海外事業部広報宣伝課課長。同期だが三歳上。
だが、浪人や落第をしたわけではないらしい。天下のT大を現役で卒業し、その後、世界各国を周遊し、社会勉強をしていたそうだ。だが、これは本人談だ、嘘か誠かは神のみぞ知るだ。
こんな胡散臭い奴だが、佑都は物凄くモテる。
海外でモデルのアルバイトができるほど……実際にしていたらしい。これは事実だろう……高身長で、流行りのシュッとしてスッとした塩系顔。俗にいうイケメン。