迷走女に激辛プロポーズ
「で、どうしてこの甘々なシチュエーションから、その流れになる?」

お風呂から上がると、昨日からの疲れが一気に襲ってきた。
猛烈な睡魔に襲われ、直ちに、寝る! 宣言をする。

「とにかく眠いの、スッゴク疲れているの」

当然だろう、あの濃厚劣悪な内容だ。
いったい誰のせいだと思っているのだ! 文句を言える筋合いじゃ無いだろう!

「それは分かった。だが、どうしてそっちに行くんだ!」
「自室に戻るだけだよ。それが、何か?」

もう、グダグダ言っていないで寝かせておくれ……。

「じゃあ、俺もそっちで寝る」
「ん、何で?」

キョトンと彼を見る。

「何でじゃないだろ! バカかお前は! 思いの通じ合った恋人同士が別々に寝てどうする! 今日から一緒に寝るに決まっているだろ」

パチリと目を開ける。

「ハァ! そんなの決まっていない! 私は他人と一緒じゃ眠れないの!」
「他人じゃない! 間も無く夫婦になる、愛し合う恋人同士だ!」

赤面するような言葉をコヤツは恥ずかしげも無く……全くもう!

「それにお前、何度も一緒に寝ているが、呆れるほど速攻で寝るぞ」

クッ、痛いところを突いてくる。だが、ここで屈するわけにはいかない。

「とにかく、私はまだ怒っているの!」

ビシッと言い切る。
この一撃は効いたようだ。彼は黙り込む。

「今日はあっちで、ひ・と・り・で寝ます! じゃあ、おやすみなさい」

ヨレヨレになった身を引きずり、自室に向かう。

「楓……楓ちゃん……」

奴が背中の方でグダグダ言っているが、放置だ。
とにかく眠って復活せねば! 明日は兄との決戦の日だ。
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