迷走女に激辛プロポーズ
しかし……あの佑都を言い負かした兄。奴は宇宙王だ!
益々磨きのかかった破壊力。兄を倒せる輩はいるのだろうか?

ウ~ン、と天を仰ぎ見る。
真っ青な空に真っ白な雲が二つ。対立するように浮かぶ雲は、並んでは離れを繰り返し、やがて一つになる。

フム、案外、メドゥーサ清香と宇宙王兄を戦わせたら、面白いかもしれない。
二人の戦いを妄想し、本来シリアスに落ち込む場面にも関わらず、私はケラケラ笑い出した。

人間、極限の事態に見舞われると、ネジが二個・三個飛んでしまうようだ……。



月曜日、会社に佑都の姿は無かった。

「白鳥課長、アメリカに出張だそうですね」

遥香が焼き魚定食のシャケを美味しそうに食べている。矢崎課長を軽くストーキングし、本日のランチを調べたらしい。お揃いだそうだ。

娘、平和で何よりだ。

「そう、急だけど仕方ないわね。自分が蒔いた種だもの……」

清香がビッグハンバーグ定食の、大盛りご飯をパクパク口に運びながら答える。

ん? 私が知らぬ間に、仕事でヘマをやらかしていたのか?
で、私たちの問題はどうなったのだろう……。

「ところで、遥香ちゃんはどうなの? 矢崎課長とは」
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