迷走女に激辛プロポーズ
遥香は顔を真っ赤にし、両頬を抑え、イヤイヤと左右に首を振る。
恋する乙女の仕草……何気に可愛いなぁ、と男目線になる。

「……それがですね、告白のタイミングが掴めず、難儀しております」
「あの矢崎課長だからね」
「そうなのです。あの矢崎課長だからです」

何が、あのだか分からないが、告白はまだらしい。

だが、告白して、うまくいったはいいがロミオとジュリエットみたいに引き裂かれちゃ、本末転倒だ。

アメリカ……遠いな、と指輪を撫でる。

「楓様、私はさっきから、ズットご報告お待ちしているのですが……」

目線を指輪に移す遥香。清香もニヤッと笑う。

「あぁ、これ? 害虫除けのお守り、買い与えました」

本日もトロトロオムライスを口に運び、詳しい説明は抜きにして、ペアリングを買ったことだけ話す。

ハァ? と呆れる遥香とクスッと笑う清香。

「白鳥課長が買ったんじゃない? あのお方、なにやっているんですか!」

女性に指輪を買わせて、とブチブチ文句を言い始める遙香だが、最後にはやっぱりこの言葉で締める。

「でも、やっぱり楓様はザ・女流剣士ですね。カッコイイです」
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