迷走女に激辛プロポーズ
佑都と会えない哀愁で、ちょっぴりおセンチになっていると、いきなり大音量が鳴り響き、辺りが暗くなる。

予定の時間になったのだろう。パーティーの始まりだ。

一段高い壇上で、ピンスポットに照れされ、現れ出でたる司会者は……。
OH! あの鳳居京之助ではないか!
許せ! 佑都! 途端に哀愁は忘れ去り、大興奮する私。

そして、司会者から紹介され、帝社長が挨拶を始める。
なるほど、帝社長が思うHAPPYはアレか、と衣装を見て、失礼ながらププッと噴き出す。

社長は御年五十八歳。帝は社長が学生時代に起こした会社だ。ちなみに、やっぱりこの人もT大卒だった……お祭り好きの宇宙人……か。何気に今日の衣装が、それを表現して見えた。

社長はKOGO前総帥とは従兄弟同士で、会社を上場した折り、KOGOの傘下となったと社歴に書かれていた。

上場かぁ、あんな感じでチャランポランに見えるが、やり手なのね。
そんな失礼なことを思っていたら、いつの間にか社長の話が終わっていた。

大きな拍手と共に、壇上から姿を消す社長。
途端に軽快なミュージックが流れ出し、会場が動き出す。

「楓様、楓様!」

偵察だ、と言って、社長の話の間、あちこち走り回っていた遥香が戻ってきた。

「今日のイベントに、ビッグなゲストが登場するそうです!」

目をキラキラさせ、司会者が鳳居京之助だったから有名アイドルかも、と大興奮で思い付く名前を次々に出す。

まったくミーハーだなっ、と思いつつ、例のイケメンモデルだったら嬉しいな、と私もニンマリしていると清香も戻ってきた。
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