迷走女に激辛プロポーズ
【メドゥーサとは、ギリシャ神話に出てくる怪物。宝石のように輝く目を持ち、見たものを石に変える能力を持つ。(wikipediaより)】

遥香情報によると、伝説のメドゥーサ同様、清香に瞳を覗き込まれ三秒見つめられた者は、石のように固まり彼女の言うがままになるそうだ。

「楓ちゃん、相変わらず憎たらしいほど綺麗可愛いわね」

清香が長い腕を伸ばし、細く白い指で私の頬をスーッと撫でる。
途端にゾクゾクッと背中に悪寒が走る。

「お肌もツベツベ、ホワイトゴールドと言われる西洋白磁みたい」

艶めかしい眼差しが瞳を捉え放さない。
私は完全に石化した。

どうしよう。このまま竜崎課長の家来になったら……。

遥香の情報には続きがあった。S気質で仕事人間の清香がいかに恐ろしく邪悪か、聞きたくないのに教えてくれた。

『清香様は、狙った獲物が石化し言うがままになると、蛇のようにジワジワ締め上げ、息も絶え絶えになったところで使い物にならないと判断すると、バッサリ切り捨て無情にも会社から追い出してしまうのです』
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