迷走女に激辛プロポーズ
モーニングはビュッフェのみだが、ランチはビュッフェ、定食、単品と選べ、全てワンコイン以下で食べられる。料理はホテル並みに豪華で美味しいと業界でも評判高い。これはなんでも、アメリカに拠点を置く親会社KOGOの先代総帥の意向だそうだ。

日本贔屓だった先代総帥は『腹が減っては戦ができぬ』という台詞にいたく感銘を受け、社員たちがしっかり食事がとれるように現システムに改善したらしい。

その効果かは定かではないが、社員の士気は上がり、業績は伸び、今では世界十八か国に系列会社を持つ大企業となった。私たちはその恩恵に与っている。

帝は専属シェフが作る料理に加え、さらに予約を入れれば、滅多に口にできない老舗豪華弁当を特別料金で食べられるようにもした。

これは、一社員が重役のランチミーティングで出された豪華幕の内弁当を目にして、「一度でいいから食べてみたい」と言った一言で取り入れられたらしい。

佑都が言っていた『三つ巴』の三段重もそれだ。

ただ、特別料金と言っても、『三つ巴』のような老舗になると一般OLが気楽に手が出せる金額では無い。なんせ一個四千五百円(税抜)だ。

こうなったら今日の恨みを込め、内緒で三日連チャン予約を入れてやる!
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