迷走女に激辛プロポーズ
佑都は予定通りカツ丼定食。一切れ食べたいかもと見つめていたら、目の前に差し出されたが、口を開けかけ、胸の辺りがムカムカするので首を振って辞退する。

遥香はビュッフェランチをチョイスしたようだ。プレートには色取り取りに盛られた料理がバランスよく並んでいる。

常々、ビュッフェの盛り付けにセンスの良し悪しが現れると思っている私は、遥香の盛り付けの美しさにちょっとビックリした。

そして、清香は意外にも牛丼大盛定食、プラス、ケーキセットだった。

このナイスバディのどこに入るのだろうと感心しながら、『メドゥーサは胃下垂のフードファイター』と頭の端っこのガラクタ手帳にメモ書きする。

そんなどうでもいいことを思いながら、私はトロトロオムライスを半分以上残し「ごめんなさい」と言いながらプリンを見つめる……が、手が出ない。

「公開しても……しなくても、恋愛って難しいですね」

オレンジゼリーを頬張りながら、遥香がしみじみ言う。

「しょせん世の中、男と女。感情は好きか嫌いか。なのに、単純じゃなく複雑に絡み合っちゃって、結局、愉しいが苦しいになること多いじゃないですか?」

「それって真面目に賢く考え過ぎるからじゃない?」

清香はチラッと私に目をやり、フンと鼻を鳴らすと、ケーキのフルーツをフォークで突きながら気怠く言う。
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