迷走女に激辛プロポーズ
「それでですね。ここからが大事ですから、お二人よく聞いて下さい!」

私の思いなど全くお構いなしに、遥香はコホンと一つ咳払いし話を続ける。

「彼らは熱愛発覚後すぐ公開恋愛に切り替え、一か月後には結婚宣言。更にその二か月後に内輪だけでの結婚披露。で、本来使うはずだった結婚費用を全額病院へ寄付。とにかく内面も外面も美しいから、ファンも祝福せざる得なかったわけです」

遥香の眼がギラッと輝く。

「――ということで、白鳥課長、一か月後に結婚宣言しましょう!」

ハァァァァ! 何を言い出すのだこの娘!

プリンを喉に詰まらせゴホゴホと咳き込む。佑都が背中を撫でながら「大丈夫か?」と訊ねる。私は涙ぐみながらウンウンと小刻みに頭を上下する。佑都は「そうか」と大きく頷き、思いも掛けないことを言い出した。

「分かった! 楓も大丈夫みたいだ。そうしよう。内輪だけの結婚式は諸事情により無理だが、式と同額の寄付をしよう」

目を大きく見開く。
「大丈夫か?」はゴホゴホではなく結婚宣言の方!

「おお! 白鳥課長、潔いです。太っ腹です。カッコイイです」

遥香がパチパチと手を叩く。
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