迷走女に激辛プロポーズ
「あらぁ、そこまで話が進んじゃったら、そっちの方がエキサイティングで面白そう。私、披露宴でベリーダンス踊ってあげる」

清香は人差し指を顎に当て「どの衣装がいいかしら?」と小首を傾げる。
ちょっと待て! なぜこの流れになる? まさかの清香まで一緒になって。

普通、恋人→婚約発表(結婚宣言)→結婚(披露宴)ではないかのか?
で、様々なハプニングが起こり、乗り越え、ハッピーエンドを迎えるのでは?
私が観たラブコメドラマはそうだったぞ!

「楓ちゃん、こうなったら覚悟を決めて苛め抜かれなさい。それがMの定めよ」

ハイ? Mって誰が?
清香はSの笑みを浮かべ、パンと手を合わせる。

「まぁ、大変! 三カ月後の結婚式に向かってブライダルエステ始めなきゃだわ! すぐ知人のエステサロンに連絡入れなきゃ! 遥香ちゃん、私たちも一緒に綺麗になるわよ!」

三か月後の結婚式? 決定? いろいろスッ飛ばしているぞ!

「はい、ご一緒します。そして、私も婿取り頑張ります!」

遥香は、キラキラお目目で「綺麗になりましょうね」と私の手を握る。
清香はスマホを取り出すと、早速、画面をタッチする。
佑都は満足そうに、柔らかな瞳を私に向ける。

そして、私の脳内では、マイムマイムの曲に合わせクエッションマークたちが軽快に踊り始める。
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