迷走女に激辛プロポーズ
佑都は私の手を取ると寝室を出る。広々とした気持ちの良い空間が目の前に広がる。

「ここがリビング。窓ガラス越しに見える中庭の向こうがダイニングで、その奥にキッチンがある」

リビングの中央に皮のソファーセット。それに対面するように、壁に掛けられた六十インチほどあろうテレビ。その下に作り付けの棚が有り、BOSEのオーディオセットが並ぶ。寝室と同じで、ここも家具は少ない。

視線を少し横にずらすと洋酒の並ぶサイドボードとグラスの並ぶコーナーボードが目に映る。どちらも高価そうなものが並んでいる。

それを横目に、リビングを背に右手廊下を進むとドアが二つ。

「右のドアがトイレ。左のドアが洗面所で奥にバスルームがある。洗面所の横のドアがユーティリティ・ルームでその奥のドアを開ければダイニングと繋がっている」

バスルームに入ると、佑都はキャビネットからタオルを取り出す。

「湯は張ってあるが無理して入ることはない。俺は入ったから、どっちにしても出る時、抜いておいてくれ」

そして、洗面台の引き出しを開ける。

「サンプルに貰ったものだ。好みの物を使うといい」

数十種類のアメニティグッズが整頓良く収められている。全て海外の有名ブランドの物だ。
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