迷走女に激辛プロポーズ
第四章 キスしてみる?
次の日の金曜日、佑都はもう一日休んで土日を迎え、月曜から出社しろと言ったが、私は仕事に復帰した。理由は単純、これ以上無駄に有給を消化したくなかったからだ。
先日のあの騒ぎで、ファンクラブからどんな仕打ちが待っているかと戦々恐々で出てみれば、肩透かしを食らったようにいつも通りだった。
これは帝のパパラッチ遥香が、『白鳥佑都の恋人、大野木楓のバックにメドゥーサ竜崎清香有り! 手を出した者には二人から厳しい鉄槌が下されるだろう』と恐ろしい警告文をSNS経由で回したためと思われる。
清香の恐ろしさを熟知し、佑都から嫌われたくないファンクラブの面々はひとまず静観することにしたらしい。
「えー! 同棲ですか! もうそんな展開になっているんですか。流石です」
「フーン、子猫ちゃんとの生活、スウィートで愉快そうだわ……交ざりたい!」
そんな中で、先日のお礼を社食で済まそうと思った私がバカだった。
食堂はいつものように満席だが、いつになく静かだった。皆、聞き耳を立てているらしい。清香と遥香が言葉を発する度にどよめきが起こる。
「だから、同棲ではなく同居。シャアです」
私は二人に向かってシーッと黙れのジェスチャーをし、小声で囁き、完全否定する。
先日のあの騒ぎで、ファンクラブからどんな仕打ちが待っているかと戦々恐々で出てみれば、肩透かしを食らったようにいつも通りだった。
これは帝のパパラッチ遥香が、『白鳥佑都の恋人、大野木楓のバックにメドゥーサ竜崎清香有り! 手を出した者には二人から厳しい鉄槌が下されるだろう』と恐ろしい警告文をSNS経由で回したためと思われる。
清香の恐ろしさを熟知し、佑都から嫌われたくないファンクラブの面々はひとまず静観することにしたらしい。
「えー! 同棲ですか! もうそんな展開になっているんですか。流石です」
「フーン、子猫ちゃんとの生活、スウィートで愉快そうだわ……交ざりたい!」
そんな中で、先日のお礼を社食で済まそうと思った私がバカだった。
食堂はいつものように満席だが、いつになく静かだった。皆、聞き耳を立てているらしい。清香と遥香が言葉を発する度にどよめきが起こる。
「だから、同棲ではなく同居。シャアです」
私は二人に向かってシーッと黙れのジェスチャーをし、小声で囁き、完全否定する。